言葉

悲しい。かつて、メールの文字では大切なことは伝わらないと言って、手紙しか書かなかったような人物と、メールで議論を交わす。

言葉は無力でありながら、暴力性だけは肥大だと感じる。

気持ちのエネルギーは、目には見えない。よくよく選ばなければ、殺人より恐ろしい力を持つ。その事を知らなければ。と、ぐっと押さえて言葉を絞り出す。

俳優になって、結局理屈ではやれない領域に身を置いているうちに、理屈で責められても納得できない人間になっていた。驚きだった。理屈っぽい性格はかわらずも。

 詩人や作家の素晴らしいところは、この世の美しい言葉を抜き出す力だ。横山さんのシンプルな言葉に、気性の本来激しい私は救われて生きてきたのかもしれない。

ことだま。

言葉を扱うのは、やはり苦手だ。うまく現せない。

卑屈や傲慢を通り越し、静かな雨のあと、広がる景色を見てみたいものだ。