八日目の蝉

先日、オススメされて気になっていた、角田光代さんの「八日目の蝉」を読みました。まさに一気読み…

私が鷺澤萠さんのことを書いた時に、オススメされたのですが、まさに…

人と人の境界に敏感で、書ききった上で…更にそこを乗り越えていくお話でした。この、乗り越えるのが感動なのです。

正直、今、凄くいいお話でも、その手前で終わってしまうお話が多すぎる気がしていて。悲しい。

いしいしんじさんのぶらんこ乗りとか、大好きだけど、寂しくて。

ただ、角田さんの作品を読んでいると(四冊くらいしか読んでないのに失礼ですが)、何不自由なく暮らしている私が、簡単に共感した、とか言っていいのかなていう気後れを感じる時があるのです。軽蔑ではなく、遠い、という感じ。

登場人物は凄く純粋なとこから出発して、一線を超えていく。壮絶というより、冷静に描かれ。

ゴミ捨て場の中で暮らす匂いとか、ラブホの掃除の匂いとか、五感にリアルに伝わる。事件より、事件を抱えて生き続ける現実感とか。

角田さんの場合、小説そのものより、角田光代さん本人に興味が湧くのです。

どうしてこういう小説を書くのかな。こういう人物を描きたいのかな。同じ事言いたくても、どうしてこういう切り口なのかなとか。

テストじゃないんだから、○○言いたいことがあります。だからこう書きます。ていつも書き始めるわけじゃないかもしれない。

だから小説そのものが角田さんなんだろうけど。それでいて、伊藤たかみさんと夫婦で小説家、てのも凄い、て思って。
夫婦で同業。クリエーター。でこういう作風…

まだ私には、ちょっと遠い角田さんではあります。
ある時、リアルにぐわわっと、来てしまうのかもしれません。

私、理屈っぽいなーやっぱり(^_^;)