曲の向こう側

今日、曲ができた。

さっきの記事とは別のお話。

病み上がりで、本を読み終えたときに。

ステップスの中村勇矢君がもちかけてくれた。

人と曲を作るのは、初めてだ。

実は一週間前、こんな曲作ろうとおぼろげに話して電話をおいた翌朝、妙な時間に目が覚め、さわさわと音がした。

で、一緒に遠くからメロディーらしきものが聞こえた。

だけど、まだ確信じゃなかった。

だから、話してくれた本を読んだ。

私の場合、色と景色と、肌に感じる空気感。探るような感覚で作る。むしろそれしかない。思想じゃない。

彼が言ってた色を確かめたかった。メロディー先行だと、感覚が間違ってしまうことがあるから。

でも、どうやら行けそうだ。ガンガンガンガン、メロディーが強くなってきた。

イメージには程遠く下手なピアノだが、忘れたら大変だから録音して、報告。

と、彼も今日の朝、歌詞が浮かんだと、メールしてくれた。話の流れで、現代アートを突然観に行くことに。

鴻池朋子さんという方の個展が、東京オペラシティアートギャラリーでやられていて、6時からだと500円で見られる。

とにかく、見てほしいからという。

彼女の事は知らないし、現代アートも得意じゃないけど、導かれるような感じで行った。

少女、赤ん坊、狼、ナイフ、地球の誕生…グロテスク…ちょっと苦手というか、子供の頃なら、泣いて逃げ出したかもしんない。

でも今は違う。

彼女は、タブーを切り開いていく。いくつもいくつも、タブーを提示して、その先にいざなってくれる。

そのエネルギーの源は何か。

難しい事はおいても、それだけが、なんとなくわかった。パワーが湧いてきた。

なんで今、誘われたかもわかった気がした。


俳優なのにいけないかもしれないが、私は言葉が恐ろしい。

もともと、言葉で言えない事を抱えきれないときに曲を作っていた。それを、綺麗だね、と言われた時は、異常な罪悪感を覚えたものだ。

かつて、歌を作って披露した事はない。

今回も、言葉は委ねた。だが、だからこそ、彼にはバレるだろう。私が嘘を作ったら。

(うまく言えないけど、嘘の音楽てやっぱりあるて思う、私が唯一クズだと思うもの)

曲作りだけは習いたくない。ガキみたいだけど、これだけは頑固に譲れない。

だが、一緒に作る相手の心は、唯一大事だと今日わかった。

とても怖かった。

彼が、第一声、「いい」と言ってくれた時、ものすごい嬉しかった。

まだ未完成だが、高めて届けたい。

できる気がした。