霧笛

横浜と聞いて、ずっと気になっていた小説がありました。

大佛次郎の「霧笛」です。

元町商店街に、霧笛楼というフランス料理屋さんがあり、なんとも素敵だったんです。

覗きからくりの初演をやった時、ちょうど巷では鞍馬天狗が流行っていました。

大佛次郎は、横浜ゆかりの作家。鞍馬天狗の原作者として有名。港が見える丘公園にある彼の記念館で、特集されていました。

でも、大衆文学家だけじゃない彼の魅力、知りたいなとずっと思っていて。

今回読んでびっくり。まさに、開港当時の横浜が舞台。

負け知らずの主人公はヤクザの喧嘩も交わし、彼らをものともしない。

絶対的な強さを見せるイギリス人の主人を慕って異人館で働くが、次第に彼すらもただのつまらない人間に見えていってしまう…

霧笛は、ラストシーンで登場。そういうふうに出てくるのか〜という感じで、さすがに語り次がれる名作だなあと思いました。

時代の大転換期に放り込まれた人々の危うさが、見事に描かれてます。主人公はなかなかにかっこいいです。

ほかに「幻燈」という作品も佳作で、これはラストに希望が持てます。
新しい時代に飛び込んでいく若者に恋した、女性が主人公。

オススメです。

幕末の横浜ゆかりの女性といえば、坂本龍馬の奥様、お龍さん。龍馬亡き後、横浜のさくらや(現田中屋)さんで仲居として働いていた事もあるとか。

そして、もう一人見つけてしまったのが、ある戯曲で有名な太夫。このお話は、また後ほど☆