お芝居の中の音楽

たまたまですが、昔、お芝居用に創らせて頂いた曲を聞きました。

もう本当にすっかり忘れていました。

当時ちょうど、出演依頼も頂いていたのですが、ミュージカル出演とかぶってしまい、作曲だけさせて頂きました。

必死だったので、よく覚えてないけど、改めて聞いてみると、なるほどと思います。いかにもピアノ曲です。今作っているものと比べると、本当にだいぶ変わったなと思います。

バリエーションが増えたというか。今、この曲は書けるかもしれないけど、今の曲は当時は無理だったろうなあ。だいたい、今は本当にいろいろな方の意見で、形になっていくから、本当に教えてもらっています。

五年前くらいになるんです。

女性芝居に書き、ご指示頂いたのもすべて女性だった為か、ものすごい女性っぽい曲でびっくりしました。

あと、あ、本来私はこういう個性かという発見でもありました。



その時の指示が、なるべく曲っぽくしないようにと言われました。

そして、内容とリンクしないように、あまり台本読んだり稽古に来ないようにと。

わかる。

音楽に意志があると邪魔。

台詞のバックに曲を入れると、女優の立場でいるとき、一見やりやすい気がしますが、それは違う。ピアノ弾きの時は、より危険を感じます。

音楽の支配力は計り知れないからです。

自分が演じるなら、嫌ですね。自分で曲を選んだならいいかもしれないけど、それでもその場に生まれる可能性を限定される。

本当は、そこに演じる人がいて、今生まれた何かに曲をつけるなら、まだいい。でもやっぱり難しいです。

特にストレートプレーの場合は。

やみくもに曲を入れると、俳優を尊重しません。その微妙なラインをよ〜くわかってないと、音楽は怖いです。

歌はまた違います。


ミュージカルの場合、いい音楽は物語を導くと聞いた事があります。

浄瑠璃も、竹本住太夫さんと鶴澤誠治さんのドキュメンタリーを見て、釘付けになったことがあります。住太夫さんが、鮮やかな三味線は邪魔になることがある。三味線と義太夫は助け合うのではなく、それぞれがそれぞれやって、絶妙でいることが理想。

三味線は女房であり、義太夫の手元を照らして物語を導くのだ、と言っていらしたのが忘れられません。