二部 霧笛〜彼と彼女のソネット

「二度と帰ってこないものの帰りを待っている。あるものを、自分を愛してくれるよりずっとずっと愛している。
ところが、しばらくすると、それを滅ぼしたくなってしまう。二度と自分が傷つくことのないように」

SF作家レイブラッドベリの小説、「霧笛」の一説です。
かつての仲間の声だと思って、はるか何万年も海に潜んでいた一頭の恐竜がやってくるお話。

実は、この一節、初めて読んだと思っていたのに、俳優さんの声のまま、記憶の彼方から蘇って、目の前に舞台のラストシーンの色彩が広がりました。

漫画家、萩尾望都原作、野田秀樹の舞台「半神」です。

長くなったなあと反省しつつ、その一節を曲の代わりに。

「この海原ごしに腰かけて、船に警告してやる声がいる〜」

いま、レーダーやGPSの発達で、霧笛や灯台はいらなくなり、騒音でもあるとして2010年3月31日、日本全国で廃止になりました。

今、霧笛そのものが幻となりつつあるのです。

ラストは、フレンチポップスのヒットに、大貫妙子さんが日本語歌詞をつけて歌われた曲です。人知れず聞いた、原点のような曲です。

♪彼と彼女のソネット