イライザ二部の3

さて、チャブ屋No.1と謳われた女性がいました。メリケンお浜という人です。

彼女は根岸の生まれで生粋の浜っ子。

根岸は漁師町で、関内まで流れる掘割川で物資を運んでいました。花柳街も栄え、日本初の競馬場もありました。

お浜は10代から働き始め、大店のキクヤホテルで働きます。老舗ですから、震災後も外国人相手。

お浜は和装を通します。背が高く、きめ細やかな肌で、姉御肌。
「日本国横浜 お浜様」で外国から手紙が届いたり、時の飛行船、ツェッペリン号の乗組員が、お浜会いたさに帰国が遅れたり、数々の逸話があります。

お浜の絶頂期、昭和16年、戦争の足音が近づいてきます。ダンスホールは閉鎖され、チャブ屋もなくなり、女達は満州へ。お浜は一時はパトロンを頼り、東京へ向かうものの、うまくいかず、舞い戻って、曙町にお店を出します。が、戦争で焼けてしまいます。

タンゴのリズムは加速していきます。

♪夜のタンゴ