イライザ二部の4

戦後、横浜は接収され、伊勢佐木町は日本人の街ではなくなりました。チャブ屋は、若い米兵を相手に、安くサービスをするようになります。

お浜は隠遁を決め込み、一時は根岸の実家に住みますが、ある頃からか、真金町にアパートを借り、「浜子」というバーを始めます。
真金町はかつて、遊郭がありましたが、赤線の廃止でさびれていました。

お浜は相変わらず和装を通しました。白粉の濃さは異様で、洗い流す湯の量が多すぎるとして、銭湯から締め出しをくうほど。倍額払って、一軒だけ出入りを許されました。

いつの間にか、バー浜子は開店休業になりました。大岡川沿いのアパートは、お浜が長年慣れ親しんだ潮の香りはせず、波の音も聞こえません。ただ遠く、霧笛の音が聞こえてくるだけでした。

♪霧笛