どっか行きたい。髪を切りたい。洋服欲しい。お洒落したい。

そういうのって、いわば気晴らしで、何か大きな山が終わったら、今までは絶対にやりたくなった。

そう、楽しいことが好きなのもあるが、だから旅が好きでした。でも、最近なんか違うのです。

遠くに出かけても実はどこにも行けないような気がすることがある。

逆にどこにも行かなくても、知らないところに行けることもある。

いけない薬に目覚めたわけではないですよ(笑)


旅とミュージカル、旅と音楽、知らない人とのお芝居やコラボレーション、本当に贅沢な組み合わせばかり体験させて頂いて、感覚が麻痺して、どんどん傲慢になっているのかもしれないけど、あたしはこの一年、真実にぶつかった。

人は、きっとみんな最初から知ってたこと。それに気づかないで、目隠しみたいに走ってきたから、あたしを宇宙人と呼んでたのかもしれない。

そのくらい、当たり前のこと。

だけど、あたしはそれで良かったし、幸せだった。

気付いたら、やるだけよ。
それが、きっとこれからのあたしの本当の旅だ。なんて、大きなことじゃなく。
これは、あたしの話で、以下はまた別の話ですが。

SOLITUDEは旅のお話ですが、いつの間にか、あたしだけかもしれないけど、どこかに行くことが旅じゃない気がしています。

そりゃ最初はそうでした。夏に本当に出かけてしまって、だから今は言えるのかもしれない。

やってみないとわからないことがある。

つまり、絶対無理だろうと思うことに挑むこと。もちろん、やれたからといって、やらせて頂いたのが正しい言い方。助けて頂いて沢山迷惑かけたし、未熟だし、天狗になるということじゃなくて。ただ、全部含めて、それでもやったんだということ。


秋は、本当はもっと遠くの土地に行きたかったのだけど、色々あって難しくなりました。待っていて下さった方、本当に申し訳ありません。

でも今、ファイナルを作り上げていくこと自体が、遠くに行くことなんだと切に思う。実際に遠くに行かなくても、今なら出来る。

それが出来て初めて、もし機会があったら、今度は行ける気がする。


今、全部含めて実現出来てしまっていたら、気付けなかったことが沢山あるような気がするのです。

もちろん、旅の本当の目的は、お客様との出逢いだったので、申し訳ないし、残念なんですが。


今日は、稽古休みで、全くライブのことやらないでいたら、こんなことを思った自分がいました。


観念の旅に出るのも同じで、つまり自分を変えたくて、何か始めるという。たいていの舞台はそうだ。幕が閉まるころには、登場人物は成長する。


素直だねと言われていたのに、頑固だねと言われるようになったあたしこそ、旅に出なきゃいけないのだろうが、きれいな山に行っても、もうあたしの価値観はそう変わらなくなってきてしまってる。

自分に必要な旅が何かは、さすがに鈍感なあたしも朧気には見えてきてるのです。