レコーダー

小学校の頃、よくピアノ伴奏をさせてもらっていました。
家に帰って、練習しました。

すると母が面白いから、録音しようと言ってきて、母が歌って私が弾くという遊びをよくやりました。


今となっては私が歌を歌っているけど、もともとは母が歌うのが好きだったもので、ピアノ伴奏の曲が馴染みの曲だと、気持ちよさそうに歌ってきたものでした。


ちょっとリズム感がゆっくりなので、慌てて合わせたりしました。


当時はカセットテープなので、今となっては伸びちゃったかもしれませんが、どこかにとってあります。


そんなことも、私がミュージカルを始めて、ガンガン歌うようになると、なくなっていきました。


すると数年前、母もICレコーダーを買ってきました。何のために使うのかと思ったら、朗読して録音するというのです。


母は人前で何かしたいとか、聞いてもらいたいとか、そういうことには全く興味がない人です。
字とかもそうで、私は昔から、書くのが面倒だし疲れるので嫌いだったんですが、母はこよなく書くのが好きな人なんです。


書いてればいいらしい。


(私は書き初めやら硬筆展やらの稽古なんか、できたら隙あれば逃げ出したい思いでやってきたタチです)


そんな人なので歌の時もそうですが、ただ、朗読が好きなのです。


それで自分でどう聞こえるのか、聞くのが好きなのです。


確かに私も幼稚園の時、お遊戯会でもらった台本をカセットレコーダーに吹き込んでもらい、聞いたときには、こりゃー面白いなあと思ったものです。私、こんな声じゃないのに、て思って驚いたり。


でも今となっては、お稽古で日常的に録音するので、その新鮮さや遊び感覚は忘れていました。


その当時も、私がピアノを弾いてると、あ、そのまま弾いててよ、適当に、とか言って、朗読しながら録音していました。


よくラジオドラマを聴く家なので勝手はわかってて、私もいきなり読まれるもんで焦りながらも、キーワードが聞こえると曲調を適当に変えたりして、録音しました。


よく分からないながら、私もその即興の遊びがなんか面白いもんで。


忙しくて忘れてましたけど、今日いきなり、母がやろう、と言ってきたので、ちょっとだけやりました。


面白かったなあ。



もともと私が朗読が好きなのは、幼稚園の頃、寝る前に、必ず日本むかし話か、世界名作絵本を読んでもらってたからだと最近思い出しました。


頭の上で本を広げて寝ながら読んでもらいました。


かなり臨場感たっぷりに読んでくれたので、私も国語の時間、それが板につき、かなり臨場感たっぷりに読んで、笑われていました(笑)


が、あの時のことが、結局は原点なのだと思います。


読み聞かせとか、朗読とかいうけど、結局、お母さんやお父さんの読み聞かせに勝るものは子供にとったらないんじゃないか、て思うなあ。


いろいろな場所で弾かせていただくことも増えたので、改めて家族とやるというのは不思議な感覚。
でも、結局は小さい頃からやってたんだな、しかも遊びで、と思い出したのでした。


録音してみると、私のピアノは随分器用に聞こえていました。


が、結局は器用なだけで、本当はそんなこと、どうでもいいんだなあと、母の録音の声を聞いて思いました。


そして、そういうことをいつのまにか忘れてしまわないように、大切なことを見失わないようにしたいと思ったのでした。


来週、そんなわけで、私も歌と朗読のステージ、いよいよ本番です。