横浜物語〜フランス月間〜政治と宗教

4夢やぶれて〜レ・ミゼラブルより〜

横浜が開港したのは1859年。ヴィクトルユゴーがこの大作を書いたのは、1862年。30年ほど前をターゲットに書かれたそうですが、なるほどと思う時代の関連性だと思いました。

私はそこから、主人公ジャンバルジャンに影響を与えた、ファンティーヌの夢やぶれてを。

がっつりミュージカル第三弾というわけでした(笑)

5GOD HELP THE OUTCASTS〜ノートルダムの鐘より〜

外国人たちが日本に住むことになって、最初に必要になったのは、教会。

彼らの基盤です。

幕府が当時ひいきだったのもあり、フランスの宣教師によって立てられました。

今の中華街の東門そばに、外国人の為に横浜天主堂と呼ばれて建てられましたが、やがて山手に移り、現在は山手カトリック教会として、広く親しまれています。

さて、西洋文化を改めて受け入れることになった明治の日本人には、実は、このキリスト教が、一番の関門だったのではと思います。

宗教の力は時には驚異であり、重々理解して300年も国を閉じた日本人なら、よけいでしょう。現に、ヨーロッパ自体も、神は死んだという思想が出て、近代を迎えたところもある。

しかし、もっと素朴な意味で、あらゆる彼らの考え方や生活にキリスト教が根付いています。

話がそれますが、ノートルダム寺院を一度訪れたことがあります。一番のインパクトは建物ではなく、実は外の公衆トイレで、チップを回収していたジプシーの存在でした。

地下鉄しかり、気をつけるようにという背景に、ジプシーや、黒人への警戒がありました。私が訪れた頃、自動販売機がなく、伺うと、すべてお金が盗まれるからだというのです。

今なおある、この多民族、貧富の差が、強い精神の寄りどころを必要としたのだと思いました。もちろん、植民地化とキリスト教の布教も繋がっていると思いますが…相反しながら受け入れられて行ったということ…

教会は、孤独な貧しい人に、あたたかいスープと、毛布を与える場所。ジャンバルジャンしかり。
しかし、これは別に、日本のお寺も同じこと、信仰の根っこなのではと思いました。

せむし男のカジモドが、ジプシーに恋をするのも象徴的ですが、彼女が自らの為でなく、より苦しんでいる人たちの為に歌うこの歌は、人間の美しさや尊さを教えてくれます。

神との対話が、逆に人間を浮き彫りにしたのではというのは、無宗教の私の考えに過ぎませんが。
日本の近代教育とキリスト教が大きく関係して、次第に浸透したことも納得いく気がします。

そして、今よりも沢山の民族が住み、混血化が進んだと思われる横浜には、受け入れる基盤があったと思われるのです。