絹のお話4

4糸物語

一番
くるくる回る糸を紡いで
あなたに届け心ごと

来る日も休まず機の音は続く

ティートントン
ティートントン
ティートントントン
ルラリ

五色の糸が綾をなし
いつか錦の夢となる


二番
祭り囃子の灯りの中で
芽生えた恋を胸に秘め

来る日も休まず機を織り続ける



あなたが来る日嬉しくて
一織りごとに数えて待つ

三番
あの子が織った大事な布を
抱えて走れ
絹の道

耳の中でいつも機の音が響く



いつか名前を立てたなら
あの子のもとへ迎えに行こう


四番
険しい山を越えてきた
二度と戻れぬ故郷を背に

いつか夢が大きな力に飲まれる時



時代がひとつ変わるとき
若い血潮は夢と散る

生まれ変わるために繭を作り
命を絶たれる蚕の切なさよ


五番
糸は織られる
時を超え
布は伝える
物語